「貯金さえしていれば安心」
かつての日本では、これが正しい考え方でした。しかし、貯金だけで本当に大丈夫なのでしょうか?「インフレ」や「長生きする時代」におけるお金との向き合い方をわかりやすく解説します。
じわじわと減っていく貯金の価値
「老後のためにコツコツ貯金してきたし、これで安心!」と思っている方、ちょっと待ってください。実は、貯金だけではこれからの時代を乗り切るのが難しくなっています。物価が上がる「インフレ」や「長生きする時代」が、私たちのお金事情に大きな影響を与えているんです。
このままでは老後の資産が危ない!超低金利時代が続いている
2025年1月1日現在、日本の3大メガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)の定期預金金利を見てみましょう。
メガバンクの1年定期預金金利
銀行名 | 金利 (%) |
---|---|
三菱UFJ銀行 | 0.125 |
三井住友銀行 | 0.125 |
みずほ銀行 | 0.125 |
1月1日現在の日本の3大メガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)の主な1年定期預金の金利は、1年もの:0.125%です。一見わずかでもプラスに見えますが、実態は違います。
1,000万円を定期預金で運用した場合
具体的な運用例を見てみましょう。
- 1,000万円を1年定期預金で運用した場合
- 年間の受取利息:12,500円(税引前)
- 税引後(20.315%の源泉分離課税後):約9,960円
- 月額換算の受取利息:約830円
月々に換算すると、利息の受取額はわずか830円です。
インフレ率2%だと、利息どころか目減りしてしまう
- インフレ率2%を考慮すると、実質的な資産価値は
- 1年目:約980万円(約20万円の目減り)
- 3年目:約942万円(約58万円の目減り)
- 5年目:約905万円(約95万円の目減り) まで減少してしまう計算になります。
つまり、メガバンクの定期預金では、1,000万円を預けても年間で税引後約9,960円の利息しか得られません。これは月額にすると約830円の収入にしかなりません。
インフレでお金の価値が下がるってどういうこと?

例えば、今スーパーで1,000円で買えるものが10年後には1,200円、20年後には1,500円になっているかもしれません。これが「インフレ」です。
2024年度のインフレ率について、政府は2024年12月21日に発表した経済見通しで、消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)の前年比上昇率を2.5%と予測しています。これは、バブル景気以来となる3年連続の2%超の物価上昇が続く見込みであることを示しています。
一方、メガバンクの1年定期預金の金利は0.125%程度。例えば100万円を1年間預けた場合、利息はわずか996円。しかし、物価が2%上昇した場合、その100万円で買えるものの価値は98万円分に減ってしまいます。このままだと、せっかく貯めたお金の価値がどんどん目減りしてしまうということなんです。
長生きするとお金が足りなくなる!?
ご夫婦で食費、光熱費、医療費など、毎月の生活費を考えると、月に21万円ほどが必要だと言われています。でも、公的年金の平均受給額は、ご夫婦で月額17万円ほど。単純計算でも、毎月4万円ほどの不足が生じてしまいます。
さらに、医療費の自己負担も増えています。75歳以上の方の窓口負担は2割に引き上げられ、通院や薬代の負担も大きくなってきました。
予想以上に長くなった老後生活
うれしいことに、私たちの寿命は着実に伸びています。65歳の方が、90歳以上まで生きる可能性も決して低くありません。特に女性の場合、4人に1人は90歳を超えて長生きされると言われています。
しかし、これは経済的に考えると、より多くの生活資金が必要になるということ。
貯金を切り崩しながら生活するとして、25年以上の生活費を確保できているでしょうか?
どうすればいいの?インフレに負けないお金づくり
「じゃあどうしたらいいの?」と思いますよね。インフレに負けないお金づくりを考えてみましょう。
インフレから資産を守るための3つの時期
資産を守り育てるためには、お金の使い道を時期によって分けて考えることが大切です。
まず、日々の生活に必要な資金や、1年以内に使う予定のお金は、普通預金や定期預金で持っておきましょう。これは、いつでも使えることが最優先だからです。
次に、2~5年後に使う可能性のあるお金です。これは、物価の上昇に少しでも対応できるよう、安全性の高い債券型の投資信託などでの運用を検討してみましょう。
そして、5年以上先の将来のために準備しているお金。この部分こそ、インフレに負けない運用が必要です。世界中の様々な資産に分散投資するバランスファンドや、優良企業の株式に投資する投資信託など、長期的な資産の成長が期待できる商品で運用することを考えてみましょう。
資産寿命を延ばせる
例えば、退職金2,000万円を銀行に預けておくだけだとほとんど増えません。でも、このお金を年利3%で運用すると20年間で約3,612万円に増える計算になります。
「複利」の力を活用すれば、お金を効率よく増やせます。
新NISA制度を活用しよう
2024年から始まった新しいNISA制度なら、年間360万円まで投資して得た利益が非課税になります。税金がかからない分、効率的にお金を増やせるので初心者にもピッタリです!
まとめ
インフレに負けないお金作りの秘訣は、「時期に応じた使い分け」と「長期的な視点」です。すべてのお金を預金で持っているのではなく、将来のために少しずつでも資産運用を始めることが大切です。
不安が先立つかもしれませんが、「知る」ことで、その不安は和らぎます。
そして大切なのは、一歩を踏み出すことです。
インフレに負けない資産づくりを、今日から一緒に学び、始めてみませんか?