新NISAとは?60代初心者でもわかる基本とメリット・デメリット(2025年最新版)

新NISA活用術

「老後2000万円問題」は老後のお金に不安を生み出します。それを克服するためにも、2024年1月からスタートした「新NISA」は、60代の資産形成に活用したい制度。今回は、特に投資未経験の方に向けて、新NISAの基本からメリット・デメリットまでをわかりやすく解説します。

新NISA制度の基本

「新NISA」は、2024年から始まった日本政府の税制優遇制度。投資による利益(売却益や配当金など)が非課税になる仕組みです。これまでのNISA制度が大幅に改良され、特に老後資金を考える60代にとって魅力的な制度となっています。

2024年に一新された新NISAの特徴は以下の通りです

  1. つみたて投資枠
    • 年間投資上限:120万円
    • 非課税保有期間:無期限
    • インデックスファンドなど、長期・分散投資に適した商品に限定
  2. 成長投資枠
    • 年間投資上限:240万円
    • 非課税保有期間:無期限
    • 株式投資信託、上場株式、ETFなどに投資可能

つみたて投資枠と成長投資枠に、なぜ分かれているの?

新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠の2つに分かれています。なぜ分かれているのでしょうか?

それは、この2つの枠は、私たちの経験や目的に合わせて上手く使い分けられるように設計されているからなんです。

初心者むけの「つみたて投資枠」

まずは「つみたて投資枠」は、投資を始めたばかりの方に特におすすめの枠です。年間120万円まで非課税で投資できますが、対象商品は金融庁が厳選した長期・分散投資向けの低コストなインデックス型投資信託やETFなどに限定されているのが特徴です。

これらの商品は、販売手数料がゼロであることや信託報酬が一定水準以下であることなどの条件を満たしており、小額からコツコツ積み立てることでリスクを分散しながら運用できます。

バナナ隊長
バナナ隊長
政府は、つみたて投資枠を通じて、誰もが安心して長期的な資産形成を始められる環境を作ろうとしています。「投資は難しそう」「損をするのが怖い」という不安を持つ方でも、厳選された安全性の高い商品なら、安心して始められますね。

慣れてきたら自由度の高い「成長投資枠」

一方の「成長投資枠」は、より自由度の高い投資ができる枠です。年間240万円まで非課税で投資できて、個別の株式やETF、さまざまな投資信託から好きな商品を選べます。手数料の制限もなく、一括購入や積立購入のどちらも可能で、投資のタイミングも自由。まさに、ご自身の判断で柔軟に投資できる枠といえます。

バナナ隊長
バナナ隊長
一方で、投資に慣れてきた方や、より積極的に資産を増やしたい方のために、成長投資枠を設けています。この枠があることで、たとえば高配当の株式に投資したり、成長が期待できる企業に投資したりと、自分の投資方針に合わせた柔軟な運用ができるわけです。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用することで年間最大360万円まで非課税で運用できます。

60代投資初心者は、新NISAをどう始めたらいい?

60代から投資を始める方には、まずつみたて投資枠から始めることをおすすめします。

投資に慣れてきたら、成長投資枠で高配当が期待できる商品を少しずつ組み合わせていく。そうすることで、安定性と収益性のバランスの取れた資産運用が可能になります。

成長投資枠とつみたて投資枠の主な違い

項目成長投資枠つみたて投資枠
年間投資枠最大240万円最大120万円
非課税保有限度額生涯1,200万円まで(総額1,800万円の一部)生涯1,800万円まで
対象商品上場株式、ETF、REIT、幅広い投資信託長期積立・分散投資に適した一定の投資信託
購入方法一括購入または積立購入が可能積立購入のみ
リスク・リターン高リスク・高リターンを狙えるリスク分散で安定的な運用を目指す

60代から新NISAを始めるメリット

新NISAは、60代にとっても心強い味方になりそうです。なぜなら、今までの貯金中心の資産管理から一歩踏み出すチャンスだからです。

税金が非課税に

「退職金は銀行預金に入れておくのが一番安全」そう思っていませんか?でも、物価が上がり続ける今、預金だけでは実は損をしているかもしれません。退職金をすべて新NISAにする必要はありません。定期預金の一部、例えば100万円でも10万円でもOK。銀行預金では受け取れる利息は税金が引かれたあとの金額ですが、新NISAで運用すれば、得られた利益は全て税金がかからずに受け取れます。

投資を学ぶことで、老後に生きがいにも

「でも、投資って難しそう…」確かにそうかもしれません。でも、退職後の今だからこそ、焦らずじっくりと投資について学べるのです。「若い頃は仕事が忙しくて勉強する時間がなかった」という方も、今なら自分のペースで投資の知識を深められます。

実益を兼ねた趣味の1つとして、投資はおすすめです。

大切なのは、無理のない範囲で始めること。例えば、最初は月1万円から。慣れてきたら少しずつ増やしていく。そんな穏やかなペースで十分です。生活資金はしっかり確保した上で、余裕資金から始めましょう。
「投資は若い人のもの」そんなことはありません。むしろ、人生経験豊富な60代だからこそ、じっくりと腰を据えて取り組める。それが新NISAの魅力なのです。

60代から新NISAを始めるデメリット

60代から新NISAを始める際の注意点と課題について、率直にお話ししましょう。ご自身の生活設計に関わる大切な判断なので、プラスの面もマイナスの面もしっかり理解しておくことが必要です。
「せっかくの退職金を減らすわけにはいかない」
「年金生活なのに、投資で損をしたら大変」
そんな不安をお持ちの方も多いと思います。実際、60代から投資を始める際には、以下のような課題があります。

投資経験の少なさが気がかり

多くの方は、貯金や保険が中心の資産運用をしてこられたと思います。そのため、株式投資の経験が少なく、「値動きの大きさに慌ててしまうかも」という不安は当然です。例えば、100万円投資して、一時的に10万円の評価損が出たとき、冷静に対応できるでしょうか。

資産運用の難しさ

退職金や貯蓄など、これまで築いてきた大切な資産を運用することになります。「長年かけて貯めた資産だから、慎重に運用したい」という思いは自然なことです。一方で、「インフレで預貯金が目減りするのも心配」というジレンマが生まれるかもしれません。

オンライン取引への不安

手数料が安い金融機関をみると、ほとんどがネットでの取引中心の会社です。スマートフォンやパソコンを使った取引に、苦手意識をお持ちの方も多いでしょう。「入力を間違えないか心配」「パスワード管理が面倒」といった声もよく聞かれます。

将来の管理への不安

年齢を重ねるにつれて、「いずれ投資の管理が難しくなるのでは」という不安も出てきます。認知機能の低下に備えて、どのように資産管理をしていくかは大切な課題です。

60代から新NISAを始めるデメリットへの対策

ただし、これらの課題には対策があります。

  1. 投資の知識は、今の時代、動画やセミナーで分かりやすく学べます
  2. 最初は少額から始めて、様子を見ながら徐々に慣れていけます
  3. 証券会社のサポートデスクを積極的に活用できます
  4. 家族と情報を共有し、将来の管理体制を整えられます
  5. 90歳までの長期投資を考えれば、ゆっくり着実に育てていけます

大切なのは、自分らしい投資のペースを見つけること。決して無理をする必要はありません。

例えば、こんな始め方はいかがでしょうか。

  • 最初の3ヶ月は月1万円から始める
  • 投資に慣れてきたら月3万円に増やす
  • 1年後に改めて投資額を見直す

「投資は怖い」と考えすぎる必要はありませんが、かといって軽く考えすぎるのも禁物です。自分の生活スタイルに合った、無理のない投資プランを見つけることが大切です。まずは、ご自身の生活設計をじっくり考えながら、新NISAとの付き合い方を探ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

60代からの新NISA活用は、決して遅すぎることはありません。ただし、若い世代と異なり、リスク管理により慎重になる必要があります。まずは少額から始めて、徐々に投資に慣れていくことをおすすめします。

「投資は怖い」という気持ちはよくわかります。でも、インフレや将来の経済変動に備えるためにも、この機会に新NISAを活用した資産形成を検討してみてはいかがでしょうか。

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